HOME >> 協会からのお知らせ >> 第28回(一社)静岡県建設業協会賞に寄せて
前 静岡県交通基盤部長 森山 誠二
昨年の3月11日に発生した東日本大震災により、いまだ厳しい避難生活を余儀なくされている方々を始め、被災された多くの皆様には、心からお見舞い申し上げます。
社団法人静岡県建設業協会および会員の皆様におかれましては、建設業の発展と本県の社会資本整備に多大な貢献をいただきますとともに、富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりに格別のご理解とご協力をいただき、厚く御礼申し上げます。
受賞された工事の担当者をはじめ、関係される皆様のご尽力に敬意を表するとともに、今後とも他の模範となりますよう、より一層のご活躍をお祈りいたします。
未曾有の大災害を受けた、昨年3月11日の東日本大震災では、災害に強い社会資本整備の必要性とともに、救援活動にまず必要となる陸・海・空路の啓開を始めとする初動対応や早期の復旧復興に果たす建設業の皆さんの重要性について、あらためて認識することになりました。
静岡県では、現在、想定される東海・東南海・南海地震が連動した3連動地震に備えるため、第4次地震被害想定の策定に向けた調査にも着手しておりますが、地域の方々や土木に携わる皆さんとわれわれ行政が一緒になって災害に強い社会資本整備を進めていくことが重要であると考えておりますので、引き続き、ご支援ご協力をお願いします。
結びに、貴協会のますますの発展と会員の皆様のご繁栄、ご活躍をお祈り申し上げます。
土木部門審査委員長 岩田 良明(静岡県交通基盤部理事)
静岡県建設業協会員の皆様におかれましては、日頃より富国有徳の理想郷の実現にご尽力賜り御礼申し上げます。昨年3月11日に発生した東日本大震災により被害に合われました皆様方には心よりご冥福とお見舞いを申し上げます。東日本大震災は、道路や港湾などの社会基盤の役割はもとより啓開から復興に果敢に挑む建設業の方々の重要性についてあらためて見直させることとなりました。現在、国において東海・東南海・南海地震が連動した大規模地震の可能性について議論が進むとともに、県でも第4次被害想定に向けた調査に着手しておりますが、東海地震の発生確率が88%とも言われる中で協会の皆様も常日頃から危機への備えを強化していただくようあらためてお願い申し上げます。
このたび第28回静岡県建設業協会賞土木部門の審査を国、県、関係団体、県建協の6名で構成する委員会で審査しましたので結果を報告いたします。
今回は、各支部から寄せられた22件の工事を対象に一次審査で出来映えや施工計画、難易度、品質向上のための工夫や地域貢献、安全管理など4つの視点で7工事を選出し、平成24年2月16日に行った最終審査では、ヒアリングを交えた厳格な審査の結果、下記の方々の受賞が決定いたしました。選にもれた作品を含め応募された作品は、いずれもすばらしい出来映えでした。
最優秀賞は、木内建設(株)が施工された『公整災第1号平成21年度駿府公園二の丸堀石垣災害復旧工事』が満場一致で選出されました。この工事は、21年8月の駿河湾沖地震により崩落した石垣を復元するため、崩落以前の写真を解析し、石材がどの位置にあったのか確定するとともに三次元レーザー測量などを駆使し、石垣を忠実に復元したものです。匠の力と現代の技術が融合した技術者ならばだれもが一度は経験して見たいと思わせるような工事でした。
優秀賞を受賞した山本建設(株)の『平成21年度富士維持管内東部維持工事』は、ポットホールの補修など緊急的かつ安全な対応が求められる工事ですが、年間を通じて関連会社と連携し出動体制を構築し確実に業務を遂行されたことが、今後増大する維持管理分野でのモデルになるものと高く評価されました。
2点目の優秀賞は、平井工業(株)が施工されました『平成21年度安倍川山崎地区築堤護岸工事』ですが、河川工事にあたり魚類や植物などの生息環境などに配慮しながら安全に品質の高い護岸整備が行われたことが高い評価を得ました。
優良賞の1点目は、小野建設(株)が施工されました『平成21年度狩野川水系前の沢砂防えん堤工事』ですが、占用物件の移転調整等に必要以上に時間を要したことから厳しい工程を強いられることとなったが、段取りを工夫し大幅な工期短縮だけでなく優れた品質の堰堤を完成させました。現場の苦労が伝わってくるすばらしい作品です。
優良賞の2点目は、大河原建設(株)が施工されました『平成21年度1号島田地区防災工事』ですが、運搬工法や深礎掘削方法の変更、排水材料の軽量化など現地の状況に合わせて工夫されたことや地元に対する広報の適切さなどが高く評価されました。
優良賞の3点目は、(株)鈴木組が施工されました『平成22年度杉山治山工事』ですが、当該工事は川根本町に接する浜松市春野の最奥部ともいえる急峻で脆弱な大変自然環境の厳しい箇所の山腹崩壊を防止するために、ロッククライミングマシンなどを駆使し安全かつ優れた品質の山腹工を施工されたことが大変高い評価となりました。
特別賞は、静和工業(株)が施工されました『平成22年度葵県道第18号(主)山脇大谷線道路改良工事(トンネル排気塔等設置工)』です。山脇大谷線は、本年4月14日に開通する新東名高速道路新静岡ICへのアクセス道路として重要な役割を担うこととなりますが、騒音振動など高い環境対策に加え、供用日が決まっていることから厳しい工期とならざるを得ないことやトンネルの設備工事などとの調整など大変難しい状況の中ですばらしい出来映えの作品に仕上げられました。静岡を訪れる方々を迎えるモニュメントとして長く歴史を刻んでいくものと思います。
大変お忙しい中、審査にご協力いただきました各委員を始め、準備にあたられました各支部や協会事務局の皆様に御礼申し上げますとともに、会員の皆様方におかれましては、長く後世に伝える社会遺産クリエイターとして引き続き誇りを持って業務に精励されますようお願いし講評と致します。
建築部門審査委員長 山崎 善利((一社)静岡県建築士事務所協会相談役)
第28回(一社)静岡県建設業協会賞 建築部門には、応募作品が12点と、昨年より3点増えましたが、更に多くの応募を次年度に期待します。
審査経過ですが、建設業協会推薦の一次審査員による、全12作品の意見交換書を基に、 1月26日に審査会(国、県、関係団体、県建協で構成する6名)を開催し、審査基準4項目+メンテナンスについて、積極的な意見交換を2時間余にわたり6作品を選出しました。
選考された作品が審査基準の各項目に対する評価点を審査するために、建設地に審査員全員参加して、建設工事担当者より、工事期間中の安全対策、近隣対策、工法等について詳細にわたる説明及び質問に対する応答を、2日間(2月8日―西部~東部:2月14日―中部~東部)現地に赴き審査しました。
2月23日に最終審査会を協会会議室に於いて開催し、以下最優秀作品1点、優秀作品2点、優良作品3点を選び決定いたしました。
今回の作品は、近隣住民や教育施設への通学路にあたり又工事関係者以外の人への安全対策に大きな配慮を強く感じられました。また昨年より始めた、会員企業の若手技術者の研修として現地審査当日に勉強を呼びかけ6名の参加がありました。
来年度も継続しますのでぜひ多くの若手技術者の参加をお願します。
会員皆様からのご意見、ご提案を期待いたします。
最優秀賞の木内建設(株)、鈴与建設(株)、平井工業(株)の3社JVによる『静岡学園高等学校・中学校建築工事』は、建設地の周辺には、朝夕の通勤時の交通量が非常に多く、地域住宅からの車両、歩行者の安全対策及び説明に多くの時間をかけて理解と同意を得ながら、着工~竣工までの施主、設計者、施工者、の努力が強く感じられました。
工事関係車両の無事故対策、また近隣には小中学校生徒の通学路でもあり工事関係者(作業員を含む)の時間差通勤等近隣住民に対する騒音、塵埃、振動等には工法、施工時間の調整に配慮されました。審査基準を十分に満たし、外内装、床仕上げ、屋根工事全ての項目に高い評価を感じました。
この現場に関わった担当者の経験、近隣住民に対する多くの問題解決対策のノウハウを、今後の特に市街地工事の安全管理に生かして頂きたいと思います。
優秀賞の臼幸産業(株)による『平成22年度特別養護老人ホーム高砂建設工事』は、建設場所が住居地域内の狭小敷地で道路の幅員も6メートルと、工事車両のすれ違い、無人交差点での右折、左折そして歩行者確認、車両確認、上り下りの速度等住宅団地住民の安全対策、工事中の粉塵、音、重量車両、くい打ち時、エアコン室外機にカバーする等、また、周囲の住民家屋調査(工事着工前)行程説明をはじめ、月間、週間、明日の工事予定の掲示等の住民に対する数々の未然のクレーム防止対策を図り、各所に創意工夫への取り組む姿勢を強く感じました。
特養棟、デイサービス棟は、道路向かいで、同時施工の為、工事車両、材料置き場、作業スペースの確保や、二つの棟の施工順序、工程調整に苦労した結果、工期も守られ、住民にも理解され、労いの言葉を頂くほど、安心・安全対策に取り組んだ結果であり、実質工期5ヶ月半の短期間で完成されたことは、近隣住民、施主、設計者、工事に携わった全ての関係者の協力と理解が有ったことが強く印象に残りました。
優秀賞の丸明建設(株)、塚本建設(株) の2社JVによる『平成21年度~22年度(仮称)袋井市余熱利用施設建設工事(建築)』は、建設地が自然環境の中にあって高台に建ち、建物全体が一望できます。近くには中遠クリーンセンター(ごみ焼却処理場)が位置する、熱源を利用した健康施設です。
曲面形状の外壁打ち放しコンクリート、大断面集成材による屋根トラスの組み建て方、納め方等精度管理(コンクリート、トラス)に3DCADフリーソフトを利用して、施工方法の確認と指示を瞬時におこない正確な構面を施工することができました。
上質コンクリート打設について講師を招き勉強会を開催するなど、テーマを掲げて、取り組む姿勢は、大いに評価できると確信しました。
この3DCADの利用は、小規模、中規模で複雑な構造形状や納まりのチェック等施工及び作業員の技術力の向上、管理体制に大きな力になると感じました。
優良賞の(株)佐藤建設による『平成21年度沼津港沼津港施設整備費沼津港魚舎建築工事』は、沼津港先端に位置し、外港と狩野川河口に挟まれた、長細い敷地で更に既設の鉄骨の鋼材は錆びで、今まで建っていたのが不思議なくらいひどい状態であったと聞きました。
解体のために仮設の足場による骨組み補強を施工し、作業中の安全対策を施しました。
既存RC造の位置や向きの変更、予定外の地下埋設物撤去等工程管理と工期とのせめぎ合いの苦労を強く感じました。
隣接する大規模な水門見学者、釣り客、土産店に訪れる観光客を含む多数の一般の人に対する安全には、最大の注意と対策が講じられました。
また、塩害対策としての、屋根材、トラス、柱に至る全ての鋼材にコーティング塗膜処理がされ、明るい荷揚げ作業場環境が作り出されています。
優良賞の鈴与建設(株)による『平成21・22年度吉田町総合障害者自立支援施設建設工事』は、建設地に立った第一印象は、とても優しさを感じさせる外観で、特に外装屋根、外壁、窓サッシ等の施工に大きな技術力を感じました。
年間を通して強い潮風が吹きつける地域で、塩害対策が随所に行き届いた施工がされていました。特に外壁のけいそうファームコート、内部壁のコンクリート打ち放し面と外部に面した木製アルミサッシの施工は、非常に高い施工技術と管理が感じとれました。
内壁の木目合わせには、大変な苦労された結果、違和感がない極自然な色調に仕上がり、落ち着いた空間が作り出されています。
敷地周辺には、小中学校が南北に位置し道幅の狭い通学路で、建設地周囲には、児童館、保育園、福祉センター、多くの民家があり、これら施設利用者、住民の安全対策を講じ、安全確認の徹底が無事故につながりました。
優良賞の(株)鈴木組による『平成21年度浜松市鴨江別館改修工事(建築工事)』は、築後87年を経過した、県内でも数少ない昭和初期に建築された建築物の、改修・補強工事で、市民になじみ深い歴史的建造物を後世に残すモデル工事でもあります。
外足場を工程に合わせて、防音シートからメッシュシートへの張り替え(防音~内外部工事明るさ確保)外部の正面出入り口は、防水性に優れた高級自然石調塗布材に変更、床材防塵・滑塗装を長尺シートに変更する等、多くの提案が受け入れられたことは、全ての工事に関わった関係者の意気込みが強く感じられました。
前面道路は交通量が多く、敷地の空きスペースが北側に細長く重機(レッカー車)、工事車両の毎日の出入り、資材置き場等大変な労力で、工事担当者の苦労が現地審査を通して感じられました。
安全対策教育を毎日、毎週、毎月開催し、作業員の安全意識の高揚に努められ、安全管理体制が工期1年未満の短期間にもかかわらず立派に完工できたと思います。
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木内建設(株)(静岡協会) 公整災第1号平成21年度駿府公園二ノ丸堀石垣災害復旧工事 |
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山本建設(株)(三島協会) 平成21年度富士維持管内東部維持工事 |
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平井工業(株)(静岡協会) 平成21年度安倍川山崎地区築堤護岸工事 |
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小野建設(株)(三島協会) 平成21年度狩野川水系前の沢砂防えん堤工事 |
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大河原建設(株)(島田協会) 平成21年度1号島田地区防災工事 |
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(株)鈴木組(浜松協会) 平成22年度杉川治山工事 |
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静和工業(株)(静岡協会) 平成22年度葵県道第18号(主)山脇大谷線道路改良工事(トンネル排気塔等設置工) |
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木内・鈴与・平井特定建設工事共同企業体 |
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臼幸産業(株)(沼津協会) 平成22年度特別養護老人ホーム高砂建設工事 |
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丸明・塚本特定建設工事共同企業体 |
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(株)佐藤建設(沼津協会) 平成21年度沼津港沼津港施設整備費沼津港魚舎建築工事 |
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鈴与建設(株)(清水協会) 平成21・22年度吉田町総合障害者自立支援施設建設工事 |
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(株)鈴木組(浜松協会) 平成21年度浜松市鴨江別館改修工事(建築工事) |
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